栄養成分表示の「○○当たり」が商品ごとに違うのはなぜ?サプリの成分量を同じ物差しで比べる手順

サプリメントを2つ並べて比べようとすると、栄養成分表示の数字がそのままでは比べられないことがあります。片方は「100g当たり」、もう片方は「1粒当たり」、別の商品は「1日の摂取目安量当たり」で書かれている、ということが起こります。

これは書き方が間違っているのではなく、どの単位で表示するかを売り手が選べるルールになっているためです。この記事では、その分母の決まり方と、分母をそろえて比べる手順を整理します。

「○○当たり」は、売り手が選んだ分母である

容器包装に入れられた一般用加工食品には、2020年4月1日から原則として栄養成分表示が義務付けられています。サプリメントもこの一般用加工食品に当たります。

表示が義務となっている成分は、次の5つです。表示する順番もこの順に決まっています。

  1. 熱量(エネルギー)
  2. たんぱく質
  3. 脂質
  4. 炭水化物
  5. 食塩相当量

一方、その数値を「何当たり」で書くかは、次のいずれかから選ぶことになっています。この選択肢を食品表示基準では「食品単位」と呼びます。

  • 100g当たり
  • 100ml当たり
  • 1食分当たり
  • 1包装当たり
  • その他の1単位当たり

「その他の1単位」に、錠剤やカプセルの「1粒当たり」「1日の摂取目安量当たり」が含まれます。つまり同じ中身の製品でも、売り手がどの食品単位を選んだかによって、表示されている数字の大きさは変わります。数字が大きいほうが多く入っている、とは限りません。

「1食分当たり」で書くときは、その量を併記する決まりがある

食品単位として「1食分」を選んだ場合は、その1食分が何gなのか(または何mlなのか、何粒なのか)を併せて記載することになっています。表示例としては「1食(100g)当たり」のような書き方です。

ここでいう1食分の量は、「通常人が当該食品を1回に摂食する量として、事業者等が定めた量」とされています。行政が決めた共通の量ではなく、事業者が定めた量である、という点が読み方の前提になります。

したがって、2つの商品の「1食分当たり」の数字を直接比べることには意味がありません。まず併記された量を確認して、同じ物差しに直してから比べる必要があります。

サプリの表示で実際に見かける3つの分母

サプリメントの栄養成分表示でよく使われる分母は、おおむね次の3通りです。

100g当たり

100gという決まった重さが分母なので、商品間で比べやすい形です。ただし1日に100gを摂る製品はまずないため、実際に1日どれだけ摂ることになるのかは、別に計算する必要があります。

1粒当たり(1g当たり、1包当たりなど)

1粒の重さが商品ごとに違うため、「1粒当たり」の数字をそのまま並べても比較になりません。1粒500mgの製品と1粒250mgの製品では、同じ数字でも中身の濃さが2倍違います。粒の重さを確認してから読む欄です。

1日の摂取目安量当たり

その製品を書かれているとおりに摂ったとき、1日でどれだけになるかが分かる形です。購入前の判断には使いやすい分母ですが、目安量そのものが商品ごとに違うため、「1日当たり」の数字が大きい商品は単に1日に摂る量が多い、という場合があります。1日何粒として計算された数字なのかを必ず見ます。

分母をそろえる手順

比べたい商品の表示がばらばらな場合、次の順番で片方に寄せると整理できます。計算に必要なのは、表示欄にある「1粒の重さ」「内容量(粒数)」「1日の摂取目安量」の3つです。

以下は計算の手順を示すための架空の数値による例です。実在の商品の数値ではありません。

例:「100g当たり たんぱく質60g」と表示された、1粒500mg・1日6粒の製品があるとします。

  1. 1粒当たりに直す
    100g = 100,000mg、1粒 = 500mg なので、100gは200粒分に当たります。
    60g ÷ 200粒 = 1粒当たり0.3g
  2. 1日の摂取目安量当たりに直す
    0.3g × 6粒 = 1日当たり1.8g
  3. 相手の商品も同じ「1日当たり」に直して並べる
    相手が「1粒当たり」表示なら、その商品の1日の目安量の粒数を掛けます。

逆方向に計算したいときは、1粒当たりの数値を1粒の重さで割り、100,000mgを掛ければ100g当たりに戻せます。

購入前の比較で実用的なのは、2の「1日の摂取目安量当たり」にそろえる形です。価格を比べるときと同じ物差しになるため、1日当たりの金額と並べて見ることができます。

1日の目安量に幅があるときは、レンジで出す

1日の目安量が「○粒」と1つに決まっていない製品もあります。この場合、1日当たりの数値も幅で出すほかありません。下限の粒数で計算した値と、上限の粒数で計算した値の両方を書き出して、相手の商品と比べます。

当店で扱っているピュアスピルリナの場合、商品ページの表示は以下のとおりです(スピルリナ100% 無添加ピュアスピルリナの表示欄より引用)。

  • 原材料 スピルリナ原末
  • 160粒入り(500mg×160粒)
  • 1日目安量:4~8粒
  • 原産国 タイ

この表示から分かるのは、1粒が500mgで、1日に摂る量は4粒から8粒の幅がある、ということです。幅の下限と上限では1日に摂る重量が2g(4粒)と4g(8粒)で2倍違うため、何かの数値を1日当たりに換算するときは、どちらの粒数で計算したのかを明示しないと比較が崩れます。幅のある製品を幅のない製品と比べるときは、上限・下限の両方を出して、相手の数値がその範囲のどこに入るかを見るのが素直な読み方です。

なお、当店の商品ページには栄養成分表示の数値は掲載していません。この記事は表示欄の読み方を説明するものなので、成分の数値そのものについては、各商品のパッケージや商品ページに書かれている表示をご確認ください。

表示された数字はどこまで正確なのか

分母をそろえても、表示値そのものに幅があることは押さえておくとよい点です。

栄養成分表示の数値は、原則として定められた許容差の範囲内に収まっている必要があります。多くの成分で、この許容差は表示値のプラスマイナス20%です。

ただし、合理的な推定により得られた値を表示する場合は、この許容差が適用されません。その代わりに、「推定値」または「この表示値は、目安です。」といった文言を、栄養成分表示に近接した場所に表示することになっています。

つまり、表示欄の近くに「推定値」「この表示値は、目安です。」と書かれている場合、その数字は分析値そのものではなく推定された値です。小数点以下の違いで商品を選び分けても、その差が実態を反映しているとは限りません。商品間の比較は、ある程度の幅を持たせて見るほうが実態に合います。

栄養機能食品だけは分母が決まっている

例外として、栄養機能食品では分母の選び方が決まっています。

栄養機能食品では、「1日当たりの摂取目安量」当たりの栄養成分の量と熱量を表示することになっています。さらに、機能を表示している栄養成分について、「栄養素等表示基準値に占める割合」も表示する義務があります。また、1日当たりの摂取目安量に含まれる当該成分の量が、規格基準に定められた上限値と下限値の範囲内にある必要があります。

機能を表示する栄養成分の値は定められた方法により得られた値で示すこととされており、推定値は認められていません。

したがって、栄養機能食品同士であれば、分母と割合の表示がそろっているため比較しやすくなります。栄養機能食品と、そうでない一般の健康食品とを比べる場合は、分母が違う可能性を前提に読むことになります。

購入前に表示欄を見る順番

以上をまとめると、栄養成分表示を比較に使うときの確認順は次のようになります。

  1. 食品単位を確認する — 「100g当たり」「1粒当たり」「1日の摂取目安量当たり」のどれで書かれているか
  2. 1食分表示なら併記された量を見る — 何g(何粒)を1食分としているか
  3. 1粒の重さと内容量を確認する — 換算に必要な数字がそろっているか
  4. 1日の摂取目安量を確認する — 1つの値か、幅があるか
  5. 「1日の摂取目安量当たり」にそろえて並べる — 幅がある場合は上限・下限の両方で
  6. 「推定値」「この表示値は、目安です。」の記載を確認する — 数値の精度の前提を把握する

表示欄に換算に必要な数字が載っていない場合は、そもそも比較ができません。その場合は、数字を推測して補わず、販売者に確認するのが確実です。

参考にした公的情報

  • 東京都保健医療局「食品衛生の窓」栄養成分表示(表示方法)/栄養成分表示(栄養機能食品)
  • 大阪府「加工食品の表示:栄養成分の量及び熱量について」
  • 東大阪市「【食品関連事業者の方へ】一般用加工食品等の栄養成分表示について」

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